日本でも糖尿病患者さんが増え続けており、近い将来、一千万人を突破する勢いです。日本人はBMI30以上の肥満はまだ少ないですが、BMI25~30の「小太り」肥満が5人に1人いると考えられます。
前回メタボリックドミノについて解説しましたが、生活習慣の乱れ、運動不足、脂肪の取りすぎ、過度の飲酒など、様々な原因から内臓脂肪が蓄積し、肝臓や筋肉に脂肪がつきますと、インスリン抵抗性というインスリンが効きにくい状態が発生します。その結果、食後の血糖値が高くなり、さらに肥満が進むという悪循環も重なって糖尿病へと進んでいきます。家系に糖尿病の患者さんがいる場合、健常人に比べてインスリンが分泌されるタイミングが遅れやすいことが知られており、食後高血糖から糖尿病へと移行していく可能性があるため注意が必要です。やや誇張していうと、ちょっと太っただけで糖尿病になってしまう可能性があるわけです
患者さんの中には、未だに甘いものを食べ過ぎなければ糖尿病にならないと誤解されている方がいらっしゃいますが、揚げ物を食べすぎても、米飯やパンを食べすぎても、糖尿病になる可能性はあります。運動を続けていただくこともとても大切です。週3~4回、1日30~60分を目安に歩いてください。もちろん趣味でスポーツをされるのもよいです。忙しくて時間が取れないとおっしゃる方は、仕事中を含めて生活の中で7,000~8,000歩を目標に歩いてください。
糖尿病で最も起こりやすい合併症は細小血管障害といって、網膜症、腎症、主に下肢の神経障害が起こってきます。これは血糖値の高い状態が続くと、目や腎臓、手足などの細い血管がもろくなり、障害が起こるわけです。さあ、あなたも明日から生活習慣の改善と運動で糖尿病の発症を予防しましょう。
2007.10.18
院長 野村 祐二